家庭用3Dプリンターのおすすめ機種5選【2022年版】

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3Dプリンターが世の中に普及し始めて10年になります。3Dデータがあれば、立体の造形物を簡単に作ることができます。近年では10万円以下で品質の高い機種も出てきていることから、ホビー用途やDIY用途で購入する人が増えています。この記事では、家庭用3Dプリンターを選ぶときのポイントとおすすめの機種をご紹介します。

3Dプリンターの種類

3Dプリンターは3DCADのデータを元にして、立体の造形物を出力(印刷)できる機械です。大まかな仕組みとしては、縦横方向に動くノズルから樹脂材料を1mm以下に薄く吐出し、一層分の面を作ります。土台もしくはノズル自体を上昇もしくは下降させながら、それを幾重にも重ねて、立体の造形物を生成していきます。

3Dプリンターにはいくつかの造形方式がありますが、家庭用に導入しやすいのは以下の2つです。

FDM方式(熱溶解積層方式)

by https://flashforge.jp/benefit_list/different-fdm-light/

FDM方式とは、フィラメント状(釣り竿のリールみたいにぐるぐる巻になったもの)になった樹脂材料を熱で溶かし、ノズルから吐出して層を積み重ねていくことで造形する方式です。においも比較的少なく、手軽に導入でき、3Dプリンターといえば一般的にこの方式です。材料によりますが強度が出やすい反面、積層ピッチが粗い機種だと表面がガタガタになったり、吐出された後の樹脂材料が熱収縮により変形して、反ってしまったりすることがあります。

SLA方式(光造形方式)

by https://flashforge.jp/benefit_list/different-fdm-light/

SLA方式とは、液状の光硬化性樹脂材料をバット(トレー)に満たし、そこに光を当てることで一層分を硬化させ、それを繰り返していくことで造形する方式です。点で硬化させるレーザー方式と、プロジェクターの光を当て面で硬化させるDLP方式、さらに液晶パネルを通すことで光を当てる場所を調節するLCD方式があります。最も古くからある造形方式で、積層ピッチが細かく、またFDM方式のような熱収縮もないので、高精細な造形ができます。ただ液状の光硬化性樹脂材料をバットに満たすのでツンとしたニオイがあり、換気が必要なので家庭での設置には注意が必要です。また造形後に洗浄などの後処理が必要だったり、太陽光で硬化が進んで壊れやすくなるなどのデメリットもあります。

3Dプリンターを選ぶときのポイント

造形物の大きさ

3Dプリンターは樹脂材料を吐出するノズルの可動域によって最大造形サイズが決まりますが、機種によって大きな違いがあります。造る予定の造形物の大きさを考えて、機種を選定する必要があります。一般的には、これに比例して価格も高額になってきます。当然ながら、最大造形サイズが大きいほど機械本体のサイズも大きくなり、場所を取ることになります。

家庭用であれば、25cm角のものを造れると大きい方です。なお、造形物が大きいほど、造形の難易度も上がりますますので、そもそも造りたいものが3Dプリンターで造るのに適しているかを考える必要があります。

造形物の強度

by FLASHFORGE JAPAN

DIY用途での導入であれば、造形物の強度も重要なポイントになります。強度が弱い材料で造った造形物に大きな負荷をかけると、当然のことながら割れてしまいます。負荷がかかる部分を太く造るという解決策もありますが、一定のサイズ以上の大きさを確保できない場合もありますので、強度の強い材料を使える機種を選定する必要があります。

SLA方式より、FDM方式の方が強度が出る材料が使えることが多いです。例えばABSはよく市販のプラスチック製品で使われる材料となります。しかし3Dプリンターで造形する場合は、熱で溶かした材料を積み重ねて造形していくため、層と層のくっつきが弱く、それを上下方向に引っ張る場合の耐久性が弱いという面もありますので、造形サイズと合わせて慎重に判断する必要があります。

造形物の表面の滑らかさ

by https://idarts.co.jp/3dp/fdm-stair-stepping-smooth/

基本的に3Dプリンターで造ったものの表面はよく見るとガタガタです。3Dプリンターは層を積み重ねて立体の造形物を作るので、その層のガタガタが見えてしまうということですね。DIY用途などで目に触れないモノを作るのであれば問題ないですが、フィギュアなどの用途であれば気になるところだと思います。

積層のピッチが細かいSLA方式であれば、表面のキレイな造形が可能です。積層ピッチのスペック値やサンプルの写真などを見て判断してください。ただし材料を紫外線で硬化させて造形するという仕組みのため、太陽光で劣化するというデメリットもありますので、造形物の取扱には注意が必要です。

導入のしやすさ

by https://kantan-yunyuu.club/what-can-we-create-with-a-cheap-3d-printer

安価な3Dプリンターは、自分で組み立てる必要がある機種があります。動画で組み立て方法が解説されていたりしますが、それなりに手間がかかりますし、ここで失敗すれば造形ができません。すぐに使い始めたい人、あるいは組立作業に自信がない人は、完成品が届くタイプの機種を購入した方が良いでしょう。

また、ニオイや動作音もポイントとなります。SLA方式ではニオイが強くなりますし、FDM方式でも換気は推奨されています。また、稼働中は機種によりますがそれなりの動作音がします。専用の部屋に設置できない場合も多いと思いますが、その場合にはニオイや動作音が極力小さい機種を選んだほうが良いでしょう。

本体やソフトウェアの使いやすさ

by http://www.mikuro-c.com/plastic/trial.html

機種によって操作感は大きく違ってきます。材料のセットや水平の調整などハードウェア関連と、積層ピッチやサポート材の設定などのソフトウェア関連があります。こればっかりは使ってみないとわからない部分もあると思いますが、動画などが用意されている機種も多いので、事前に可能な限り確認してみてください。

また、ソフトウェアであれば事前に無料ダウンロードできますので、先にインストールしてみて、3Dデータをインポートし、傾斜部分の出力に必要なサポート材がどのように付与されるかなど、各種設定の操作を試してみるのも良いでしょう。

10万円未満のおすすめの3Dプリンター

ダヴィンチJr. Pro X+ (XYZプリンティング)

家庭用3Dプリンターで高いシェアを誇るXYZプリンティングの3Dプリンターです。組み立て済みの完成品で、箱を開けたらすぐにセットアップして使えます。ハイスペックながらお求めやすい価格を実現したコンパクト3Dプリンターで、企業だけでなく学校や個人にもおすすめの一台です。定番の樹脂材料であるABSフィラメント使用可。オープンフィラメント方式で他社製フィラメントも使用可。別売りオプションの高硬度エクストルーダーを装着すればメタリックPLA、カーボンPLAフィラメントも使えます。自動キャリブレーション(オートキャリブレーション)機能付きで、簡単に水平調整ができます。

・FDM方式
・組立不要
・最大造形サイズ(幅×奥行×高さ):17.5×17.5×17.5cm
・本体サイズ(幅×奥行×高さ):420 ×430 ×380 mm
・積層ピッチ:0.02~0.4mm
・ソフトウェア:XYZmaker

Finder (FLASHFORGE)

Finderは急速にシェアを拡大しているFLASHFORGE(フラッシュフォージ)社のFDM方式の3Dプリンターです。全面上部にフルカラータッチパネル(日本語)を備えており、指一本で直観的な操作が行えます。また、抽出可能なプラットフォームを採用しているため、出力後の造形物を簡単に取り出すことができます。モデルを削除するときにプラットフォームやホルダーを損傷することはありません。静音性に優れたモデルで、周囲に配慮した大きな騒音対策をしなくてもすみます。枝状にサポート材を付与してくれるスライスソフト「FlashPrint」が使えるのもFLASHFORGE製品の特徴です。初心者でも簡単に3Dプリンティングをスタートできます。

・FDM方式
・組立不要
・最大造形サイズ(幅×奥行×高さ):14.0×14.0×14.0cm
・本体サイズ(幅×奥行×高さ):420 ×420 ×420 mm
・積層ピッチ:0.05~0.4mm
・ソフトウェア:FlashPrint

Saturn(ELEGOO)

SLA方式のELEGOO Saturnは同社初の大型樹脂3Dプリンターで、8.9インチの4Kモノクロディスプレイと192×120×200mmの大きな造形容積を備えます。より大きなモデルを高速でプリントしたり、一度に複数のモデルをプリントしたりすることが可能になり、プリント効率が大幅に改善されます。光硬化のための4KモノラルディスプレイのHD解像度は3840*2400、508PPI、つまりXY軸の解像度は50μmまたは0.05mmであり、滑らかで繊細な3Dプリントモデルの表面を実現します。

・SLA方式(LCD)
・組立不要
・最大造形サイズ(幅×奥行×高さ):19.2×12.0×20.0cm
・本体サイズ(幅×奥行×高さ):28.0×24.0×44.6cm
・積層ピッチ:0.05mm
・ソフトウェア:Chitubox

10万円以上のおすすめの3Dプリンター

Guider2(FLASHFORGE)

業務用として使っている企業も多い、FLASHFORGE社のFDM方式のプロ仕様の3Dプリンターです。一番の特徴は、およそ30cm角の大きな造形サイズです。また、加熱式プラットフォームにより、熱収縮を抑え、強度の高いABSで安定した造形ができます。PLAでの出力では、スライスソフト「FlashPrint」の機能により、枝状にサポート材を付与してくれるので、造形後のサポート材除去の手間が大幅に削減されます。水平出しの調整が半自動でできる(センサーと大型タッチパネルの指示でネジを回すだけ)のも嬉しいところです。

・FDM方式
・組立不要
・最大造形サイズ(幅×奥行×高さ):28.0×25.0×30.0cm
・本体サイズ(幅×奥行×高さ):549×490×561 mm
・積層ピッチ:0.05mm~0.3mm
・ソフトウェア:FlashPrint

Inventer(FLASHFORGE)

こちらもFLASHFORGE社のFDM方式の3Dプリンターです。上のGuider2に比べての特徴は、材料を吐出するヘッドが2つあることです。モデル剤とは別にサポート材用に専用の樹脂を使う用途が一般的で、ABSでの出力時にHIPSという材料をサポート材に使うことで、除去がより楽になりました。エクストルーダの左右には、冷却性に優れた2つのファンが装備されており、モーターの熱上昇によるトラブルを抑制しています。

・FDM方式
・組立不要
・最大造形サイズ(幅×奥行×高さ):23.0×15.0×16.0cm
・本体サイズ(幅×奥行×高さ):485×344×402mm
・積層ピッチ:0.05mm~0.4mm
・ソフトウェア:FlashPrint

まとめ

いかがでしたでしょうか。安価な価格帯の機種でも、大型の造形が可能だったり、様々な種類の材料が使えたりと、幅の広い使い方ができることがおわかりいただけたと思います。しかし大事なのは、3Dプリンターで造りたいものをしっかりとイメージしてから機種を選定することです。是非ご自身にあった機種を選定してみてください。

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